具足人形に代表される独創性あふれる水引細工の技は、どのようにして編み出されたのでしょうか。
(さゆみさん)「祖母の話によると、曽祖父が水引細工を始めたのは、50歳を過ぎてから。小笠原流の水引細工職人が金沢に来ていて、手仕事の好きな左右吉さんは教えてくれと頼みに行ったけれど、どうしても教えてもらえなかった。それがくやしくて、その人の結納飾りが展示してある店に連日足を運び、見よう見まねで結び方を覚えたそうです」
「左右吉さんは、結納飾りがうまくできると、次は立体的な鶴や亀、松竹梅の形に編み上げる方法を考案しました。それが、水引人形のはじまりです。商売として成り立つまでは苦労の連続だったようですが、もともと絵や書が得意で、手仕事の好きな人だったので、楽しんで作品を作っていたのではないでしょうか」
「結納品に鶴や亀の飾りを付けることは、今でこそ一般的になりましたが、当時は他に無い目新しい形として注目されました。水引人形は、水引飾りという古い風習から生まれた、新しい工芸なんです」