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八日市屋 典之さん

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八日市屋典之さんを楽しむ
金沢蓄音器館
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金沢という街へのこだわり

音楽のスタイル
要は金沢という街へのこだわりです
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八日市屋さん 顔スナップ
【プロフィール】
金沢蓄音器館 館長 八日市屋典之さん
株式会社山蓄 取締役社長
石川、金沢の音は何か?そんな音を伝統、そして風土や自然、今の文化に求める。過去と現在を融合し、「石川」「金沢」を伝える音のパイオニア
http://yamachiku.co.jp/index.html


皆を集めてレコードと同じようにお話をするわけ

音楽の店、(株)山蓄(やまちく)代表取締役であり、金沢蓄音器館の館長の八日市屋典之さんが展開する“音”のSTYLEに注目します!

-八日市屋さんの原風景とは?
「原風景はやはり蓄音器だね。子供の頃、友達が遊びに来て雨が降ったりしていると、ゼンマイを巻いて蓄音器をかけるわけです」

「聞く曲がグレンミラーの『ムーンライトセレナーデ』だとか『茶色の小瓶』とかね。1つが3分くらいで終わっちゃうわけ。又巻いてかける。おんなじ曲を何回もかけるんで、そのうちみんな嫌になっちゃう。で、みんな帰っちゃうんだけど、自分は何回でも聞いていたね」

「お話のレコードというのがあって、『アリババと40人の盗賊』とかね。そういうのを何回も聞いていると覚えちゃう。それで、保育所の時とかに皆を集めてレコードと同じようにしてお話をするわけ」

「『ギーッ』とか擬音を入れたりしてね。『ドアが開きました』とか言うんじゃないんだよ。『ギーッ』と言うわけ。なぜかというとレコードの中ではそういう擬音で入っているからね。そういう風にやると皆喜んで聞いていたらしいよ(笑)」
八日市屋さん写真
小さい頃から蓄音器のある環境に育った八日市屋さん。蓄音器に対する思い入れも深い。


ただ残っているからといってそれが受け継がれていくことにはならない

-どのような経緯で蓄音器館をやることに?
「もともとウチは『山田屋蓄音器専門店』という蓄音器屋でしたから集める立場にあったといえばそうなんですが。ウチの先代の社長が、捨てられた蓄音器を見て『昔自分が売った蓄音器だ。かわいそうに』ってことで捨て猫を拾ってくるみたいにね(笑)直してみたら『ちゃんと音が出るじゃないか』ってんで始まったのがこのコレクションのスタートだったんです」

「そうしているうちに段々欲が出てきて『アメリカで部品買ってこよう』とか『壊れているもの同士で部品取りして動かそう』とかしているうちに今日のような形になったわけです」

「だから古いものを古いまま置くんじゃなくて、それを今様の新しさを入れながらどのようにやっていくかということがその存在を広く広めていくことになる」

-石川県、金沢と蓄音器に繋がりがあるのでしょうか?
「何故、金沢に蓄音器館があるかということだけれども、1つは古くから私の家が蓄音器を取り扱っていたこと。そしても1つは金沢が空襲の逃れたということです」

「そして一番大きいのはそれらを保存、収集していこうという意思を持った人間がいたということなんです。ただ残っているからといってそれが受け継がれていくことにはならない。先代のウチの父親がそういう風に思っていたからこそ残った」

「そのように環境与件と本人の意志が上手く合致したからこそ出来たことなんですね」

イメージ:蓄音器

金沢蓄音器館
540台の蓄音器を有する、日本最大級規模の蓄音器館。表情豊かな蓄音器は見るだけでも面白いが、ここでは毎日実演も行われる


SPレコードのコレクション
金沢蓄音器館
「使ってこその蓄音器である」という考えからソフトであるSPレコードのコレクションも充実しており、2万枚を数える


金沢の音とは何か?

八日市屋さんは蓄音器館の館長とは別にもう1つの側面を持っている。それは音楽のプロデュースである。特に“金沢”という街にこだわり、“音”によって表現したいというのがその思いである

「芸妓さんの音を集めたCDを何故つくろうと思ったかというと、『金沢の音』とは何であろうかと考えたからです。観光客が沢山来る、若い人たちも集まる、文化があり、伝統工芸もある、そんな街において形に残っているものではなくて金沢の音って何であろうかと考えたんです」

「色々なことを考えていたんですが、たまたま飲んでいるときに『そりゃあ、芸妓さんの音だろう』という話が出て。そういえば今の時代にはそういうのがあんまりないなと。蓄音器館の古いレコードにはそういうのがあったんです。かなり昔のものでしたけれど」

「それで金沢のお座敷太鼓のCDをつくろうと思ったんです。実際に取り組んでみると西の茶屋街と東の茶屋街で微妙に太鼓のたたき方が違うということが分かって、それぞれ別につくることになったんです。結果となってみれば2種類出来たことが金沢の街の文化の深さ、多様さを出すことになった」
イメージ:CD「金沢 にし 芸どころ」
CD「金沢 にし 芸どころ」
金沢の名所として有名な茶屋街の伝統的お座敷芸の音を集めた、八日市屋さんプロデュースのCD

八日市屋さんと“みね”さん写真
CD「金沢 にし 芸どころ」で笛を披露する“みね”さん(中央)


ポテンシャルの高さを“音”という切り口で

-オーケストラアンサンブル金沢のCDも出されているそうですが?
「アンサンブル金沢にしたって、初めて石川県に楽団が出来、オーケストラが出来、音楽堂という“ハコ”が出来たわけですが、そういったもののソフトを形にすることはどこもやっていなかった」

「だったらその良さを伝えるためにはCDをつくって広く知ってもらうことがアンサンブル金沢の宣伝になる。ひいては金沢の宣伝になると」

「つまり芸妓の音もあればオーケストラの音もあれば蓄音器の音もあるということを打ち出すことが出来た。金沢というポテンシャルの高い土地において自分の商売である“音”を切り口にしたときにそういうものに気付いた」

「それは金沢という土地へのこだわり、『金沢とは何だろう』ということを常々考えていたが故に気付いたんです。根底にあるのは思い入れなんです。金沢という街に対していかに思い入れを持つか、こだわるかということが原点なんです」
イメージ:オーケストラアンサンブル金沢CD
メジャーレーベルから沢山のCDを出しているオーケストラアンサンブル金沢の中でも最大のヒットとなった「モーツァルト : 交響曲 第40番 / チャイコフスキー : 弦楽のためのセレナード」【岩城宏之(指揮)/オーケストラ・アンサンブル金沢】


どうやって見てもらうかがものすごく大事

-蓄音器やSPレコードに興味が無い人たちにも今後どうやって伝えていくかということに関してはどう思われますか?

「それは1つの永遠の課題というか。どんなに宣伝しても知ってる人もいれば知らない人もいる。それはずっと継続してやっていかなくてはいけないことだと思う。どうやって見てもらうかがものすごく重要なんだ」

「金沢という土地も古いものの中にいかにして新しいモノを入れていくかということを考える必要があると思う。例えば兼六園にしても継続的なイベントを行っていくとか。時には園内を活用したりとか。兼六園でJAZZの大コンサートなんて面白いだろうね」

「先日も話してたんだけど、来年古賀政夫さんの生誕100年ということでなんかやれないかということで最近のアイドルに古賀さんの曲を歌ってもらうとかね(笑)そういうことも金沢に人を呼ぶ1つの方法だと思う」
八日市屋さん写真


そういうことを両方やっていかなくてはいけない

「あとはホスピタリティの問題。いまだにタクシーの運転手さんの態度が良くないとか。街全体にホスピタリティが行き渡るということが活性化に繋がることなんじゃないかな」

「そういった中で蓄音器館のポジションを考えると、金沢にいて、金沢だけでやっているのではなくて、東京から人を呼んできてイベントをするとか、そういうことが大事なんです」

「イベントとしてはクラシックのアカデミックな印象のものから、チェン・ミンという中国の二胡奏者が蘇州夜曲というのを演奏するエンタテイメント的な会など様々です」

「僕はそういうことを両方やっていかなくてはいけないと思う」
イメージ:イベント風景
蓄音器館でのイベント風景
この日は音楽評論家の宇野功芳氏の講演「宇野功芳が語るSPの世界」が行われた


金沢は“歌”になる街

-金沢という街を一言でいうと?
「一時、ご当地ソングというのが沢山出たんです。その中で北島三郎さんの『加賀の女(かがのひと)』っていう歌がある。『君と出会った香林坊の〜♪』って出だしなんですけど。そういったご当地ソングが出来た中で、“歌になる街”というのはそんなに多くない。北海道だと札幌とか、九州だと博多とか」

「金沢にはそういうものが醸成されているというか。伝統工芸であるとか、街並とか、低くたれこめた天候とかそういった様々なものが金沢という言葉に醸成されていってるのではないかな。そんな街でしょうね」

「そういうのは技術論とかテクニックとでは無い、風土に育まれたもので、一種DNAとして刷り込まれているようなものではないでしょうか。そういうものがみんなそれぞれの根底に持つものだと思う」
八日市屋さん写真


音のナビゲーター役に

-今後どんなことをしていきたいと思いますか?
「音楽ビジネスにおいて、ヒット直前のモノ、売れてきたモノを売るというのではなくて、『コレがこれからの時代になるんじゃないか?』というように提案していく、ナビゲーター役ができたらいいなと思っているんです」

「色んな新人アーティストがいる。彼らをどうやって世の中に広く出していくかということ。それはもちろん自分一人の力では出来ないわけですけど、地元のメディア、マスコミ、そしてメーカーと一緒にやりながら、時代に合った音楽というモノをもっとやっていきたいと思います。そしてもう1つは金沢という街へのこだわりを出すことですね」
八日市屋さん写真

八日市屋さんの石川つながり―石川県金沢市出まれ―金沢蓄音器館館長、 (株)山蓄代表取締役社長


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