(松田さん)
「親父は恐ろしい親父でね。短気で。小さい子供のときから傍で飯も食えなかったわ。危なくて。若い頃に、友達と給料のいい鉄工所で働こうと思って親父に話しをしたら何も言わんと、傍にあった
獅子頭を鉈で木っ端微塵に割ってしまってね。家の宝物やと思っていた獅子頭を」
「それを見て『こりゃあやっぱり傘屋をしないといかんかなあ』と。昔の人はそれだけ仕事を大事に思っておったんやと思うわ」
「うちの親父は傘作りを地場産業にしたいと思っておったんや。それでたくさんの人を雇ってね。子供の頃、丁稚(でっち)の親が
氷室饅頭を持ってきて、わしは朝から晩まで饅頭を食っておった時期もあった。親父も親方と言われることに生きがいを感じ取ったのじゃないかな。わしはそう思う」
「親父を始め、いろんな同業者に助け、助けられしながらここまでやってきた。影響を受けたと言えばそんなところや。みんなおらんようになってしまったけどなあ」