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前田 利一さん

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食こそが教育そのものである

食のスタイル
食が楽しくなければ生活は一切楽しくない
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前田さん顔スナップ
【プロフィール】
「器屋」プロデューサー 前田利一さん
「食こそが教育そのものである」という人生観で生活の舞台を金沢に移した“食”のスタイルのパイオニア
http://www.wahoo-net.com/utsuwaya/

教室で教えているよりもよほど効果があるんじゃないかって

器屋さんは元々前田さんが立ち上げたお店ではありませんでした。前田さんは鹿児島出身で「器屋」のファンとして金沢へ来ることになります。

「ちょうど僕が金沢に遊びに来ていた頃は『不登校』『家庭内暴力』という話題がもちあがっていた頃だった。16〜17年前かな。で、塾で子供を教えていた僕は"おかあさん相談室"というのを設けたり、お母さん達に配る、教育用季刊誌を発行したりしている教育者グループに参加。その中で歯医者さんの意見を聞いて噛む事の大切さを説いたり、食生活で偏差値は変えられるとか、そういう活動をやっていた時期だったんですね。そして、自分でも塾で教えながら、『この子の成績を変えるためには、欠かせないのは食生活だ』と思うようになったんです」

「そういうことをお母さん達に話しても、取り入れられることは少なかったですね。なのでどうしたらそれを変えられるかなと思っていたところ、『器屋で売られているような食器を買うお母さんたちだったらきっとちゃんとした料理を作るよね』って感じに。教室で教えているよりもこういう活動をした方がよほど効果があるんじゃないかって思ったんです」
器屋店舗外観

器屋店舗内観


「ゆくゆくはその様な流通を作り上げたい」

器屋の1つの特徴がキッチンを備えていて、仲間やお客様と食事会、パーティができる点です。
-キッチンがあるということがどのような意味を持っているのでしょうか?

「このお店にあるものはいわゆる雑器なので料理なくしては分かりにくいだろうと。『どんな風に使うの?』と聞かれることがありますから。こうやってコーヒー1つ出されても『おっ!』と思うようなことが大切だと思います。だからお店で食事会のようなイベントをやることで色んなことを分かってもらえるということもあります。一人でもそういう方々の裾野を広げていくことも大切ではないですかね」

そして前田さんにはもう1つの構想があります

「食器というのは段々買い貯まってしまう。それでもやはり新しいモノが欲しくなったりするわけです。洋服だってまだ着れる服があったとしても次のものを買ったりする。でも食器というのはそういうことが少ない。だから、新しい食器を買うために、飽きた食器をリサイクルできるようにしたいなと思っていて。でも個人だけが動いても、数が揃わなくてなかなか難しい。もう少し大きく動くことが必要だなと思っています」

「だからそういったときに店内の食器を卸して、使って、それを誰かに買ってもらったりとか、レンタルをするということをしたいと。例えばお子さんの七五三のパーティをしようというときに、『普段は3人家族だから食器も3セットしかない。7人来るけどバラバラというわけにもいかないし』とか『ホームパーティで映える盛り皿が必要だな』といったニーズがあるのではないかと思うんですよね。そしてそういった呼びかけの中継点、基地として食事会、パーティーが必要ではないかと思っているんです。もっと沢山の人数が来てもいつも新しい食器が出せるぐらいになるといい。そうすれば来た人達も毎回楽しいし、そういった食器が市場価格の半値ぐらいで買えれば喜ばれるのではないかと」

「本当は誰しも、仕事が終わって、ほっとして家で満足感のある食事やティータイムを迎えたいと思うはずです。何も毎日街へ出て、高いお酒を飲まなくても、良いウイスキー、良いグラスがあれば十分楽しめるかもしれない。『良いモノ』を使いたいというニーズを埋めていくと、高価な伝統工芸品にしても、もっともっと、使いたいという人が増えるのではないでしょうか?今は何か普通の生活ではそういったものを使わせないようにしてしまうシステムというか、世の中になってしまっている気がするんです。お金を持ってる人が順々に下へ『良いモノ』を流していくような道がないと駄目なのではないかと思うんです。ゆくゆくはその様な流通を作り上げたいと思います」
食事会の準備をする前田さん
店での食事会の準備をする前田さん


前田さん全身スナップ


食事がいいかげんだと延々と仕事をしているような状態な訳でしょう?

-『食が楽しくなければ生活は一切楽しくない』というお店のコンセプトがあるわけですが、それをもう少し詳しくお聞かせ願えないでしょうか?

「人間の生活の中でメリハリをつけている部分が食事だと思うんです。朝食で活動開始とか、昼食で午前と午後の区別をつけるとか、夕食でリラックスとか。だからそこがいいかげんだと延々と仕事をしているような状態な訳でしょう?メリハリがなくなると思うんです」

「食事というのはそこにメリハリをつけることによってリフレッシュできるのだと思います。だからそこが楽しくなければ、毎日奴隷のように働いていることになると思うんです。人間としては死んでいるのと同じじゃないか?ただ、生かされてるという」

「で、その食事のときに『おいしくない』と感じることは、それ自体が“エサ”になっているということです。だからファーストフードなんかはエサを食べさせられているのと同じなんです。一定の味―つまり日本全国同じモノを食べさせられるわけです。それは日本という鳥小屋に入れられたにわとりと一緒。みんな体つきも、味覚も違うはずなのに」

「僕ももちろんファーストフードやファミレスに行ったりすることもありますよ。でもそれが日常になるのは違うと思う。だから日曜日ごとにファミレスが家族連れで一杯になるというのは飽きれてしまう。日曜日こそ、家庭の味を味わせてあげたらどうでしょう」

「これが僕の1つの人生観です」
器屋商品:漆器
漆器の扱い方などがきちんと説明してあります

器屋商品:食器
食器の使い方についても提案してくれます


おいしく見えないから消化も悪いし、よだれも出てこない(笑)


-今、世の中の人の生活を考えたときに、仕事等が忙しいという状況があると思うんですね。遅くまで仕事をして帰ってきて、時間も無いからコンビニの弁当で済ませようかとなってしまうことが、現実問題としてはある。人間らしい食生活を送ろうという考えや思いはあっても、そうすることにリアリティがあるのか?という問題もあると思うのですが?

「僕もそうなんです。色々なことに追われて食事がおざなりになるということは多々あります。カップヌードルやパンで終わらせるときもあります。そんなときは精神的にはとても不満足なものですよ」

「これも不満足なんだけど、僕はお酒が好きだから、仕事帰りにお惣菜を買ってきて、家でちょっと一杯飲んだりすることがあります。そんなときに必ずやっているのが“パックのまま食べない”ということです。量をみて、『このくらいの小鉢がいいかな』とか『中皿に盛ろうかな』とか。そうやって食べる」

「僕はこれだけでも全然違うことだと思うんですよね。割り箸を使わないで自分の箸を使って食べるとか。ちゃんと箸置きにおいて、御燗をつけて、『さあ、食べるぞ』と。『やっと仕事終わった』と言う安堵感。そういう行動はものの1〜2分しかかからないわけですから。おいしく見えないから消化も悪いし、よだれも出てこない(笑)おなかだけ膨れて、そのうち食欲も無くなる」
前田さん

前田さん_02

前田さんの石川つながり―鹿児島県出まれ―器屋を通して金沢へ


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