釣りをする人にとって、釣った魚というのは特別な思い出を刻む場合がある。それが大きかったり、初めての体験であったりすればそれはなおさらだ。伝統工芸が釣り人達のそんな気持ちを捕らえ始めている。輪島塗の産地としても有名な石川県輪島市。そこで「輪島ジギングバトル」という釣り大会を通して新たな動きが生まれた。
「現在、
ジギングバトル(ルアーを使用する釣りの大会)が4回目なんですけども。大会の主催者が優勝者に輪島らしい記念品を贈呈したいということで輪島塗の"魚拓"風のパネルを作る話が出たんです。それで一番最初は蒔絵でそのパネルを作ったらしいんです。その次の大会でその魚拓パネルを
沈金で作ってくれんかという依頼があったんです」
「私らとか漆屋さんというのは頭の中に輪島塗の沈金で彫った鯛というイメージはあるんです。もう何十年もそういう仕事しとるんで。輪島の沈金で魚彫ったらこんな感じになるだろというイメージはあるんですね。だけれども私にすると魚拓風って言われたもんで、どうせならよりリアルにより忠実にうろこの形から数までとかできればいいだろうなと」
「写真に撮ったものそのままパネルに写してくれって言われればそれは可能です。今こんな時代ですし。でもそれじゃあ写真の方がいいだろと。けども魚拓風の沈金パネルにしたい、漆のパネルにしたいっていうことは、それなりに漆の良さも出さないかんだろうと思ったんです」